虹の懸橋
江戸時代に日本を訪れたドイツ人医師、明治時代にドイツに留学した日本人など、日独の心の懸け橋となった人々の苦難や優しさを描く。オランダ東インド会社の医師として長崎に訪れ、好意的な『日本誌』を執筆したケンペル。鳴滝塾で医術を教え、開国を迫ったペリーに武力行使をしないよう書簡を送ったというシーボルト。温泉の研究でも知られるベルツ博士らの足跡をつづる。
日本人では、第一次大戦のドイツ人捕虜を「祖国のために戦った勇士」として手厚く扱った徳島県坂東収容所長の松江豊寿、児童文学者の巌谷小波らが登場。中でも、明治の初めに官費留学生としてドイツに渡り、後に初代東大医学部綜理となる池田謙斎が留守宅にあてた書簡は圧巻。ドイツの男女平等思想への感動の様子や、学費を倹約して送金を続ける池田の家族を思いやる気持ちが痛いほどに伝わってくる。
書籍名 | 虹の懸橋 |
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著者名 | 名誉教授 長谷川つとむ(勉)・著 |
月号 | 2005年冬季号 No.102 |
価格 | 2,310円 |
出版社情報 | 東京都千代田区神田神保町1-3、冨山房 |